最適なストレッチとは~文献・まとめ~

ストレッチは、スポーツ現場での傷害予防や高齢者の健康維持等、リラクゼーションなど一般的に広く行われています。行ったことがない方を恐らくいないのではないかと思うくらい一般的なものですね。

様々な情報があふれているので

どのように行うことがいいのか?
果たして効果があるのか?

などいろいろと疑問に思うこともあるかと思います。

私の経験談などはひとまず置いておいてそんなストレッチについて
文献を参考にしてまとめてみました。

 

 

ストレッチの効果

特にスポーツの現場においてウォーミングアッフは運動前の筋のしなやかさを向上させることを目的に行われ、クールダウンでは運動後に筋が硬くなることを防ぐことを目的に
それぞれストレッチを行うことが一般的に行われています。

果たしてそんなストレッチの効果はどんなものなのでしょうか?

関節可動域(柔軟性)の改善
筋緊張の低下
疲労回復
血流増加
傷害予防
スポーツパフォーマンスの向上

この効果はどれもスポーツ現場で必要とされるものばかりですね。

それぞれスポーツ現場ではウォーミングアップ、クールダウン時に行うことが多いかと思います。
では、その効果を引き出すストレッチについて解説していきます。

ストレッチの種類

様々な効果があるストレッチですが、ここでは2つの分けて紹介していきます。

スタティックストレッチ(静的ストレッチ)


スタティックストレッチは、静的ストレッチとも呼ばれ、体を静止した状態で反動を使わずに筋肉を伸ばすストレッチです。
一般的には一方向に「痛みのない範囲」で伸ばしていくことが推奨されています。

ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)

ダイナミックストレッチは動的ストレッチとも呼ばれ、大きな動きを伴うことで筋肉を伸ばし、関節可動域を広げます。
相反性抑制(相反性神経支配)といって伸ばしたい筋肉(主伸長筋)の反対側の筋肉(拮抗筋)を収縮させることで、伸ばしたい筋肉は弛緩していくという作用を利用したストレッチです。主にウォームアップとして用いられます。

効果的なストレッチ方法

ストレッチの時間

スタティックストレッチの効果的な持続時間については、10~30秒や最低20秒以上必要、または長時間の方が有効で60秒程度の効果が大きい等、検証によって異なっています。

◇文献より

①「静的ストレッチングの効果的な持続時間について」では10秒、20秒、60秒で検証し10秒は筋肉の緊張度に有意な差はないとなり、20秒60秒では緊張度の低下に優位な違いが生じたと報告している

②「短時間の静的ストレッチングが柔軟性および筋出力に及ぼす影響」では6秒と30秒で検証し、伸張時間が 6 秒間では関節可動域は拡大しないものの筋出力は向上し,30 秒間では関節可動域は拡大したものの筋出力は低下した。

③後ほど出てくる「運動負荷後のストレッチングが筋硬度に及ぼす影響」では30秒を1セット行い筋硬度が軟化した報告をしている。

上記文献により
30 秒間ないし 60 秒間の実施が関節可動域改善に有効
しかし現場でたくさんの筋肉をストレッチしていくとなると時間的な制約や体が冷えてしまうことなども考慮すると30秒くらいが妥当かと考えます。

ストレッチの強さ

伸ばす強さは痛みの生じる直前を100%として120%くらいまでの範囲で伸ばします。
上記のようなストレッチの負荷により、
柔軟性や関節可動域のの向上するだけでなく効果持続時間も長くなります。

◆詳しく
方法
対象は健常学生16名の右ハムストリングスとした.
SSTは 5 分間とし,伸張強度は大腿後面に痛みの生じる直前の膝関節伸展角度を100%とし,100%,110%,
120%の 3 種類とした
-中略-
結果
各強度のSST直後にstiffnessの低下,関節可動域の増加,最大動的トルクの増加を認めた.それらの変化はいずれも120%強度で最も大きく,SSTの効果持続時間も最長となった.

静的ストレッチングの柔軟性改善効果は伸張強度が高いほど大きい

また強いストレッチは防御的に収縮することが言われていますが、
110%や120%強度では痛みやそれに伴う防御性収縮と思われる筋活動量の増加があるものの、スタティックストレッチ実施に伴い次第に低下していき痛みに対する感受性の変化があったことが報告されています。
そのためストレッチをする時間は長めに行うことが大切です。

ストレッチの効果の検証

3日間同じ筋肉(ふくらはぎ)への負荷を与える実験では、
ストレッチをしないと筋肉は約2倍の硬さになり、ストレッチをするとほぼ硬くならないと報告されています。

ストレッチしない群(◇群)は筋肉の硬さが2日後
3日後と徐々に硬さが増し3日目には2倍以上となった

ストレッチをした群(●群)では2日後にマイナス
ともなり3日後にも硬さに変化がなかった


明治織灸医学第40号より

 

この実験ではふくらはぎに3日連続強負荷を与えて、
運動前、運動直後、時間を少しあけてストレッチをする群とストレッチをしない群で検証したものです。
詳しくはリンク先を見ていただければですが、運動前後で3度のストレッチを行うことで
翌日には逆に筋肉の硬度は低くなることも報告されています。

このことから
練習後、ストレッチをしないということは、疲れを引きずり故障の原因となることが考えられるが、
ストレッチをすることで筋肉の負担は大きく軽くなり、疲労回復につながります。
運動後のストレッチがいかに大切なのかが理解できますね。

 

また別の実験では自分自身で行うことと専門家が行うことでの効果に差が表れたという報告もあり、ストレッチはやるなら適当に行わずしっかりを行うことを知り、心掛けて行うことが大切です。

 

ウォーミングアップ、クールダウンのタイミング

何のためにウォーミングアップを行い、何のためにクールダウンを行うのか?
まずはそこを理解してくとより効果的にストレッチに取り組んでいくことができます。

ウォーミングアップの目的

・試合や練習でべストパフォーマンスを発揮できるよう体の準備をすること
・ケガの予防として体の準備をすること
・体調の確認

ウォーミングアップによって得られること

・体温・筋温を上げる
・心拍数を上げる(呼吸循環器系の準備をする)
・体の反応を高める
・関節可動域を広げる(柔軟性を高める)

筋温の上昇が不十分であると筋肉の応答速度も低下し、
大きな負荷や力が筋肉に加わったときに反応が遅れて捻挫や肉離れなどをケガを招きやすくなります。

クールダウンの目的

・試合や練習での疲労の回復の促進
・心身の緊張の緩和

クールダウンによって得られること

・血液を全身に再分配する
・筋緊張の緩和・疲労回復

まとめ

以下の文献では、スタティックストレッチを行うことで筋力の低下が報告されています。
筋力の低下があるということは、ウォーミングアップの目的として”ベストパフォーマンス”が発揮できないとも考えられます。
逆にダイナミックストレッチでは筋力の向上も報告されており、どちらも柔軟性の向上や関節可動域の向上が得られるならば、
ウォーミングアップとしてはダイナミックストレッチ、クールダウンとしてはスタティックストレッチを行うことが適切と考えられます。

◆詳しく
ストレッチングの持続時間を比較すると、ひとつの筋群に対するストレッチング時間が 90 秒を超えると、それ以下と比較して筋力の低下があきらかとなると報告されています。それより短い時間のストレッチングについては結果にばらつきがあるものの、短時間(45 秒以下)のスタティックストレッチングは、ほとんど筋力を低下させない(‒3.2%)のに対し、46 ~ 90 秒では ‒5.6%,90 秒以上では‒6.1%とあきらかな低下を示すなど、短時間のストレッチングでは筋力低下の影響は少ないといわれている。
ダイナミックストレッチング においても時間と等尺性筋力、等速性パワー、1 RM の関係についてのレビューがあり、スタティックストレッチングの場合とは異なり、ストレッチングによる低下は見られず、長時間のストレッチングでは筋力が向上するとしている 。このレビューによると、90秒以上のダイナミックストレッチングによる筋力の向上(7.3%± 5.3)は、90 秒以下(0.5%± 2.3)と比較して有意であったとしている。

ストレッチングのエビデンス 理学療法学 第 41 巻第 8 号

ウォーミングアップをすることに時間をとれる方は、
体温や筋温を上げるために軽いランニングから始めて、スタティックストレッチ、動く準備としてダイナミックストレッチや競技動作を入れたウォーミングアップを行うとさらにいいでしょう。

 

寒い時期は特にウォーミングアップとしてスタティックストレッチをすることは、筋温もあがっていないことから柔軟性を引き出すことは難しくやらない方がましとなります。ウォーミングアップに時間の取れない方は、筋温を上げながら柔軟性向上にアプローチできるダイナミックストレッチを選択するといいでしょう。

一つ参考としてみてください。

随時更新していきます(2019/03/13)

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ABOUTこの記事をかいた人

かつてプロボクサーとして、6年間活躍し最高位は日本ライト級6位。 その競技生活において怪我や体の故障を経験し、 どうすれば怪我や故障をしないですむのか、 どうすれば効率的・効果的に体を動かすことができるのか、力を発揮することができるのか考える。 そんな想いから競技生活を終えた後、フィットネスインストラクターに転身後、柔道整復師となり、 接骨院勤務、整形外科勤務を経て、   2007年 『千住大誠接骨院 』 設立   2008年 『R&F Karada+ 』 (カラダプラス/コンディショニング施設)設立 「痛みへの施術」 「トレーニング指導」 「コンディショニング指導」 それぞれの特長を生かした総合的な視点から、必要最適なアプローチを行える体制を確立。 治してもらう・教えてもらうだけのではなく、 まず自分でもやってみようという 簡単で分かりやすい自分でできる”セルフコンディショニング”を一人ひとりに合わせ提案。 そのうえで、専門家としてサポートしていく姿勢をとり、 選手自身とそして選手を応援するトレーナーや家族に、 セルフメコンディショニングにおける考えを伝え、講師としてもサポートするなど幅広く活動している。