腸脛靭帯炎(ランナーズニー)に効果的なストレッチ

腸脛靭帯炎とは
ランニングをしている人に多くみられる症状でランナーズニーとも言われています。

 

ランニングやロードバイクなど膝の屈伸運動を繰り返すことや、急な切り返し動作、ジャンプ動作などを多くするスポーツをする方に見られるスポーツ障害です。

腸脛靭帯が膝の屈伸時に膝の外側(大腿骨)の出っ張っている骨の上を繰り返しこするような刺激により痛みとして現れます。

その腸脛靭帯は主に大腿筋膜張筋(大殿筋)の収縮に伴い張力が変化するため、一般的な予防や治療には大腿筋膜張筋のストレッチングが行われます。

 

そんな腸脛靱帯炎に効果的なストレッチについて解説していきます。

 

どの筋肉をストレッチするといいのか

先にお伝えしたように一般的には大腿筋膜張筋のストレッチが最優先となります。
様々な腸脛靱帯炎に関する文献を見ても大腿筋膜張筋のストレッチにより腸脛靭帯の緊張が緩和するとの報告があります。

以下では患部の下肢が上方の側臥位で、股関節屈伸・内外転・回旋0°、膝関節屈曲90°で内転方向にストレッチをして腸脛靭帯の硬さが優位に低下したことを報告しています。

ストレッチング肢位は,検査側下肢が上方の側臥位で膝関節90°屈曲位とした。骨盤の代償運動を抑制するため,非検査側の股関節は屈曲位とした。検者が徒手的に検査側下肢を股関節伸展し,大腿遠位外側部に押し当てた徒手筋力計μTas F-1(ANIMA社)の値が50-70Nの間となるように内転方向へ伸張した。(中略)
本研究では硬度計を使用し,ストレッチング前後におけるITBの硬度の定量化を試みた。結果,ITBの硬度は遠位になるほど高い傾向があったが,全ての部位でTFLのストレッチングにより有意に低下した。

※「ITB」とは腸脛靭帯 「TFL」とは大腿筋膜張筋
「すべての部位」とは大腿骨外側上顆から大腿長の5%,25%,50%近位の3箇所

大腿筋膜張筋の静的ストレッチングが腸脛靭帯の硬度に与える影響より引用

 

その他の筋肉としては、
腸脛靭帯の動きがももの前側の筋肉(大腿四頭筋)の影響を受けてしまうので、
大腿四頭筋の中でも特に外側広筋
足の指先に対して膝が内側に入ってしまう走り方の方(ニーイン・トゥーアウト)は、
ふくらはぎの筋肉やもも裏の外側の筋肉(外側のハムストリングス)を大腿筋膜張筋のストレッチと合わせて行うといいでしょう。

上半身の筋肉も行うことで効果を引き出すことができるものもありますが、個別性が高いのでここでは割愛します。
 

ストレッチの方法

大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋は股関節の屈曲、外転、内旋に作用します。
ストレッチはその逆の動きで行います。写真のように股関節の伸展、内転、外旋です。
赤いところが伸びるように行ってください。
この筋肉が緩むことで大腿筋膜張筋とつながっている腸脛靭帯が緩み、膝の外側へのこすれ合うストレスを軽減してくれます。

他の大腿筋膜張筋のストレッチはこちらを参考にしてください。

外側広筋

ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)の中の外側に位置する筋肉で、膝を伸ばすために使われます。外側広筋は大腿筋膜張筋からつながる腸脛靭帯と癒着をしやすく、腸脛靭帯の滑走性に影響を与える、動きに制限をしてしまう筋肉です。

写真のように膝を曲げてももの前側を伸ばします。
その際にもものやや外側が真上を向くように下腿(ひざ下)を外に少し出して行うといいでしょう。

大腿二頭筋

ニーイントゥーアウトは大腿骨に対して下腿が外旋してしまう状態です。
この使い方はももの裏側の外側の筋肉である大腿二頭筋を過度に使ってしまいます。
大腿二頭筋(外側ハムストリング)のストレッチと合わせて下腿を内旋させるトレーニング(内側ハムストリングス)を行うといいでしょう。

写真のようにストレッチ側の足を前に出します。
踵を視点にして足の指先を外側に向け、膝を伸ばしてお尻を後ろに引くようにしてもも裏を伸ばします。
もも裏の外側が伸びるように行いましょう。

ふくらはぎ

足首が硬い(ふくらはぎが硬い)くて床への接地時間が長いと、
結果として足の接地時に足の指先は外を向いてしまいます。
足の指先が外側を向いてしまうということは下腿が外旋してしまうことになります。

膝を伸ばしてのアキレス腱伸ばしと膝を曲げてのアキレス腱伸ばしの2つを行ってください。
またこの時にも足の指先をまっすぐにして行うことがポイントとなります。

最適なストレッチ時間・強さ・頻度とは

ストレッチの時間

30 秒間ないし 60 秒間の実施が関節可動域改善に有効。

ストレッチの強さ

伸ばす強さは痛みの生じる直前を100%として120%くらいまでの範囲で伸ばします。

ストレッチの頻度

ランニングの前後にプラスして入浴後など1日に複数回行うことが疲労回復に効果的なことが証明されています。

 

最適なストレッチについては以下に詳しく紹介しております。

最適なストレッチとは~文献・まとめ~

 

こちらの挙げたストレッチは、
腸脛靱帯炎になられた方に多く共通しているところをピックアップしました。
ただしあくまでも個人差がありますので専門家に評価してもらってから行うことをお勧めします。

以下に該当している方はお試しいただけるといいでしょう。
・足首が硬い(踵をつけてしゃがめない、)
・しゃがめても踵が内側に入ってしまう、もしくは足の指先が外側を向いてしまう、膝が内側に入ってしまう
・ももの外側が硬い(脚を伸ばして力を抜いて腸脛靭帯を触るとピンと張っている)
・片足でスクワットするときに膝が足の指先より内側に入ってしまう(ニーイン)

 

 

ストレッチはセルフコンディショニングとして非常に有効です。
さらに筋肉と筋肉、筋肉とその他組織、また皮膚の滑走性を回復することによりストレッチが活きてくることでしょう。

ただしストレッチだけでは時間がかかります。
使いすぎている筋肉のストレッチに合わせてさぼってしまっている、またうまく使えていない筋肉のトレーニングをすることがより症状回復のスピードを加速してくれます。

 

内容については随時更新していきます。
学び、現場での経験も含めた話となりますので現在進行形の話となります。
宜しくお願い致します。(2019/4/2更新)

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ABOUTこの記事をかいた人

かつてプロボクサーとして、6年間活躍し最高位は日本ライト級6位。 その競技生活において怪我や体の故障を経験し、 どうすれば怪我や故障をしないですむのか、 どうすれば効率的・効果的に体を動かすことができるのか、力を発揮することができるのか考える。 そんな想いから競技生活を終えた後、フィットネスインストラクターに転身後、柔道整復師となり、 接骨院勤務、整形外科勤務を経て、   2007年 『千住大誠接骨院 』 設立   2008年 『R&F Karada+ 』 (カラダプラス/コンディショニング施設)設立 「痛みへの施術」 「トレーニング指導」 「コンディショニング指導」 それぞれの特長を生かした総合的な視点から、必要最適なアプローチを行える体制を確立。 治してもらう・教えてもらうだけのではなく、 まず自分でもやってみようという 簡単で分かりやすい自分でできる”セルフコンディショニング”を一人ひとりに合わせ提案。 そのうえで、専門家としてサポートしていく姿勢をとり、 選手自身とそして選手を応援するトレーナーや家族に、 セルフメコンディショニングにおける考えを伝え、講師としてもサポートするなど幅広く活動している。