腸脛靭帯炎の文献からの考える走り方

理想のランニングフォームとは何か?
様々な書籍や情報がありますが、
ここでは

”故障しづらい走り方”

というところのフォーカスして
文献からの情報をもとにお伝えします。

私は

 

”故障しづらい走り方” = ”楽しく走り続ける走り方”

 

と考えています。

故障しづらい走り方を身に着けて
いつまでも楽しいランニングライフを送ってほしい。

 

 

【腸脛靭帯炎に対する走り方の一考察】

腸脛靭帯炎は、腸脛靭帯が膝の屈伸時に膝の外側(大腿骨)の出っ張っている骨の上を繰り返しこするような刺激により痛みとして現れます。腸脛靭帯が大腿骨外側上顆を乗り越える際の膝関節屈曲角度は約30°であると報告されています。

しかしこの研究は膝の角度だけでのもので、
実際には股関節角度によって腸脛靭帯が大腿骨外側上顆上を乗り越える角度も変わります。

ここをより詳しく解明することで
ランニング時のどのタイミングで腸脛靭帯が患部をこするのかがわかります。

 

以下の文献はランニングスピードによる負担まで検証をしています。

腸脛靭帯炎の発症に関与するランニング中の下肢関節角度と腸脛靭帯の緊張

要点を抜粋して紹介します。

ITB(腸脛靭帯) と LFE(大腿骨外側上顆) との間に生じる圧迫の頻回によって ITBS (腸脛靭帯炎)が発症するため、圧迫が生じる
際の ITB の緊張が重要になる。しかしながら、動作中のどの局面で ITB が LFE を圧迫す
るかについては考慮されていない。動作中のどの局面で ITB が LFE を圧迫しているかは膝関節
角度のみでなく、股関節角度も考慮する必要がある。

これまで ITB が LFE を圧迫する際の膝関節角度は
30°であるとされてきたが(Noble 1979)、股関節を屈曲することで 30°よりも大きい膝
関節角度で圧迫が生じることが明らかになった。Orchard たち(1996)はランニングの接
地初期に膝関節屈曲 30°になるため、この局面で ITB に圧迫が生じていると報告してい
る。本研究結果から圧迫が生じる際の膝関節角度は股関節角度によって 30°よりも大きく
なるため、これまで報告されてきた局面で ITB に圧迫が生じているかは再考する必要があ
ることが示唆された。

研究 2 では股関節と膝関節角度からランニング中のどの局面で ITB が LFE を
圧迫しているかを推定し、その際の ITB の緊張も測定することでどの局面が最も ITBS の
発症に関与しているかを明らかにすることを目的とした。男性長距離選手 8 名 16 脚を対
象とした。20m の助走距離をとって 14.4km/h の速度でランニングを実施した。ランニング 1 周期中に圧迫が生じる局面は 4 回存在した。離地後の局面、離地前
の局面、接地後の局面、接地前の局面の順に有意に ITB が LFE を圧迫する際の ITB Strain
が高かったこれまで、先行研究(Orchard たち 1996)の結果から ITBS
の発症に関してランニングの接地初期の局面が着目されてきた。しかしながら、本研究の
結果では接地初期の局面よりも離地期前後の方が ITB の緊張が高かった。

研究 3 ではランニング条件としてランニング速度を変化させた際の ITB の緊張を測定した。ランニング速度の変化に伴い、股関節と膝関節の角度が変化することが予想される。ランニング速度の変化が ITB の緊張に及ぼす影響を明らかにすることで、ITBSの発症した選手に対して有効な復帰基準を示唆することを目的とした。男性長距離選手 6 名 12 脚を対象とした。20m の助走距離をとり、14.4km/h の低速条件と 18.0km/h の高速条件の 2 条件の速度でのランニングを実施した。ITB Strain は接地後 29%から 37%の時間で有意に高速条件が大きく、接地後 58%から 75%の時間では有意に低速条件が大きかった(p<0.05)。離地前の局面で低速条件の方が高速条件よりも ITB Strain が大きかったITB が LFE を圧迫する際のストレスの頻回によって ITBS が発症するという特性から、圧迫が生じる際の ITB の緊張が ITBS の発症には重要な要素となる。接地期全体をみると接地前半に高速条件で、接地期後半に低速条件で ITB の緊張が高くなった。しかしながら、圧迫が生じる局面のみをみると離地前の局面で低速条件の方が ITB の緊張が高くなっており、低速条件の方が ITBS の発症リスクが大きいことが示唆された。

本研究の結果から圧迫が生じる局面は股関節屈曲角度と膝関節屈曲角度によって決ま
る。つまり、ランニングフォームが変わることによって、ITB の圧迫が生じている局面が
変化することになる。加えて、足部離地の前後で ITB の緊張が高まるため、この際の ITB
の緊張を減少させることが ITBS の発症予防に繋がると考えられる。

 

◇ランニングスピードにより腸脛靱帯炎の発症リスクが変わる(遅い方がリスクが高まる)
◇患部への圧迫が生じる局面は足が地面を離れる前の局面だということ(もう少し調べる必要はあると考えています)。

 

ランニングスピードが速くなることにより、
ストライド(足幅)は大きく
ピッチは速くなります。

そのため以下のように考えられます。

ストライド(足幅)が大きくなることで膝の外側への負担がかかりづらい角度になる。
ピッチが速くなることで負担をかける時間(接地時間)を短くなる。

 

 

では、
ストライドを大きくして走るのがいいのか?
ピッチを上げて走ることがいいのか?

ストライドを広げればピッチは少なくなり、ピッチを上げればストライドは狭くなります(速いスピードで走りつづけることが求められます)。

 

2018年12月5日に行われた福岡国際マラソンを優勝した服部勇馬選手は余裕を持った走り方をするためにこんなことを言っていました。

「どんなペースでも同じピッチで走ることを心掛けた」

 

なるほど。
このことから
ピッチを中心にして走り、
ストライドはそのスピードによって変化していくとしていくといい。
と私は考えました。

 

なぜなら福岡大学スポーツ科学部教授、2018年名誉教授。専門は運動生理学の故田中宏暁先生が最後に書かれた著書
「ランニングする前に読む本」
ではピッチは180回/1分以上にすることと伝えているからです。

このことの考慮に入れ、

どのスピードでも180回/1分以上のピッチで走ること

がポイントと考えます。

 

 

もう一つのポイントである患部への圧迫が生じる局面は足が地面を離れる前の局面についても、ピッチを上げて走ることにより足の接地時間を短くすることで腸脛靱帯炎への有効な対策なるかと考えています。
それは接地時間が長いと片足で支持している時間が長くかかるため
脚への負担の増えるからです。

 

またこの文献では走られている方の足の接地については書かれていません(フォアフット/ミッドフット/ヒールストライク)ので先行研究との違い(先行研究は接地初期に大きい)についてはもう少し調べてみます。

さらに中長距離選手で時速14㎞以上での検証となっています。
実際腸脛靭帯炎になる方は走り始めの方が多いので
他の問題も多々あることと思っています。
そこのところは今度も調べて報告していきたいと思います。

一つ参考としてみてください。

随時更新していきます(2019/03/10)

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ABOUTこの記事をかいた人

かつてプロボクサーとして、6年間活躍し最高位は日本ライト級6位。 その競技生活において怪我や体の故障を経験し、 どうすれば怪我や故障をしないですむのか、 どうすれば効率的・効果的に体を動かすことができるのか、力を発揮することができるのか考える。 そんな想いから競技生活を終えた後、フィットネスインストラクターに転身後、柔道整復師となり、 接骨院勤務、整形外科勤務を経て、   2007年 『千住大誠接骨院 』 設立   2008年 『R&F Karada+ 』 (カラダプラス/コンディショニング施設)設立 「痛みへの施術」 「トレーニング指導」 「コンディショニング指導」 それぞれの特長を生かした総合的な視点から、必要最適なアプローチを行える体制を確立。 治してもらう・教えてもらうだけのではなく、 まず自分でもやってみようという 簡単で分かりやすい自分でできる”セルフコンディショニング”を一人ひとりに合わせ提案。 そのうえで、専門家としてサポートしていく姿勢をとり、 選手自身とそして選手を応援するトレーナーや家族に、 セルフメコンディショニングにおける考えを伝え、講師としてもサポートするなど幅広く活動している。