【臨床雑記】上を向いて(仰向けで)寝ることができない高齢者の円背姿勢に対するストレッチポール®活用の一症例

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―はじめに―
日々臨床で感じていることや思ったことを書き連ねています。あくまでも私個人が体験し考え精査し実感したことです。予めご了承ください。ただ少しでも参考になりお役に立てれば幸いです。
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気が付けば枕を高くしなければあおむけで寝ることができない、
背筋を伸ばすと背中が、腰が痛い、背中が張るといったことを経験されている方も多いかと思います。

 

最近「背中が丸くなってきた」

など気になっている方も多いことでしょう。

 

では「姿勢を正してみよう」としても

「疲れる」「背中が痛い」

ということもあり姿勢を正すことが大切と思いながらもできないとあきらめる方のいらっしゃることと思います。

 

老化による姿勢変化として最も多いものは円背姿勢。

今回はそんな円背姿勢の一つの症例と合わせて解説していきます。

 

円背とは

今回のテーマで上げるものとして
老人性後弯症とか老人性円背というものになります。

本来は反っている腰部の脊柱が、後方に丸くなる状態をいいます。
加齢が原因で多くの椎体間の椎間板が変性したり、骨粗鬆症で多くの椎体の変形や押しつぶされる圧迫骨折によっておこります。

 

円背がよくない訳

様々な文献で円背姿勢での現状がつづられています。

日常生活動作困難に関する調査報告では、円背者は非円背者と比較して、長時間の座位や歩行に困難を感じていると報告されています。

円背姿勢高齢者の呼吸機能及び呼吸パターンの検討では、
「握力や最大呼気、吸気が低下する」と報告している。

椅子座位での良好な姿勢と円背姿勢での膝伸展力の比較研究では、
「円背姿勢で約16%の膝伸展筋力が低下した」と報告している。

 

また上記文献では、
「円背姿勢で筋力低下がないにも関わらず、正常姿勢よりも筋出力が低下するということは、逆を言えば円背姿勢の予防に対しての運動療法を行えば、膝の伸展筋力は維持されるということが言える」とも言っています。

詳細

【患者様データ】
70歳くらいの女性
主訴:仰向けに寝るとつらい、夜中寝返りをすると目が覚める、首・背中・腰が痛い
既往歴:胸椎圧迫骨折
アライメント:頭部前方移動、肩甲骨外転挙上位、上位胸郭下制、下位胸郭胸骨下角狭小、骨盤後傾位、膝軽度屈曲位(伸展制限)など
骨盤アライメント:右寛骨後傾、仙骨右傾斜(左膝に比べて右膝関節伸展制限強い)
状態:仰向けでは枕にプラスしてタオルを折りたたんで高くしないと寝ることができません

 

【目標】
仰向けになって寝られるようになってストレッチポール®に乗れるようになり、いい姿勢を維持できるようにしたい。

 

【施術】
◆初回
骨盤のアライメントの問題はあるものの、時間の関係で初回は上半身にアプローチしました。
初めに下位胸郭の黄径拡張のために腹部皮膚、腹直筋、肋間へ組織間リリース
次に肩甲骨内転をしやすく胸を張りやすくするために、僧帽筋上部線維、肩甲挙筋、鎖骨上皮膚をリリース。
これにて胸を張りやすくなり背中の痛みは低下。
しかし腰部の痛みは残存。
腰腸肋筋を見てみると吸気時に腹横筋に引っ張られるように横に広がりましたので、
そこをリリースすると胸を張っても痛みはなくなり、仰向けになろうとするときの首の痛みは消失。楽に寝られるようになりました(枕あり)。

課題エクササイズとして、
逆腹式呼吸を伝え次回までに続けるよう指導。

 

◆2度目
前回終了後同様の状態維持で枕のみで仰向け可能。
痛みはPainスケールで10→3
下位胸郭の動きは出てきたものの可動性は小さいため、制限しているところをリリース。
また動きを引き出すために呼吸エクササイズ。
最後チンインエクササイズを課題エクササイズとして指導し終了。
ストレッチポール®が手元になかったためポールonは次回にしました。

 

◆3度目
ストレッチポール®ハーフカットにタオルを頭の下の置いて寝ることができました。

ストレッチポール®エクササイズの内容は、

・骨盤胸郭スライド(大きく揺らぐ感じ)
・予備運動2つ(腕の外転と対角の運動)
・呼吸エクササイズ
・腕の内外転
・チンイン
・小さな揺らぎ
・呼吸

※エクササイズ内容は状態に応じて選択をしました。

終了後、以前ストレッチポールに乗ったときは痛くて乗りたくなかったけど、
仰向けで寝ていることが苦にならなくなり、
たち姿勢が大きく変わり、
「楽!」
「頭の位置が変わった」
と喜んでいただきました。

ストレッチポール動画はこちらを参考にするといいでしょう。

コアコンファン

まとめ

ストレッチポール®は姿勢改善をしていくためのツールとして秀逸です。
簡単にできて姿勢が整いやすいことからこういったご年配の方、一般の方だけでなく、アスリートも愛用している方が多くいます。

胸を張る(胸郭挙上)姿勢は頭部前方移動、肩甲骨外転といった不良姿勢を改善するために必要な要素です。

今回のように仰向けになることが苦痛の方は徒手介入が必要です。
そのために胸を引き下げてしまう原因である下位胸郭の動きを引き出すことから施術をしていきました。
皮膚の癒着、筋間の癒着を組織間リリースしていくことで楽に仰向けになることができました。

 

姿勢改善には日々の意識が大切です。
軽く触れることで得られる立位姿勢の安定化に直接影響を与える大脳皮質領域へのアプローチとして、「ライトタッチ効果」がおすすめです。

壁に頭や背中をつけて立つことです。
これにより姿勢の感覚にアプローチしていき脳の姿勢の書き換えを行います。

日々頭の位置などはじめとした”良姿勢の感覚”をいれていき、新たな姿勢(良姿勢)を体に溶け込ませていくことです。

 

―重要―
ストレッチポール®は間違っても「我慢させて乗らせる」ことは避けてください。
続けることでポールに乗れるようになることもあるかと思いますが、ポールに乗る快適さを感じづらく「ポールに乗りたい」いった積極的に乗っていくといった自立した行動につなげていくことが難しくなるからです。
人って苦痛なことより「心地よい」「快適」「楽」の方を求めますからね。
継続していくために必要なことかと思っています。

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ABOUTこの記事をかいた人

かつてプロボクサーとして、6年間活躍し最高位は日本ライト級6位。 その競技生活において怪我や体の故障を経験し、 どうすれば怪我や故障をしないですむのか、 どうすれば効率的・効果的に体を動かすことができるのか、力を発揮することができるのか考える。 そんな想いから競技生活を終えた後、フィットネスインストラクターに転身後、柔道整復師となり、 接骨院勤務、整形外科勤務を経て、   2007年 『千住大誠接骨院 』 設立   2008年 『R&F Karada+ 』 (カラダプラス/コンディショニング施設)設立 「痛みへの施術」 「トレーニング指導」 「コンディショニング指導」 それぞれの特長を生かした総合的な視点から、必要最適なアプローチを行える体制を確立。 治してもらう・教えてもらうだけのではなく、 まず自分でもやってみようという 簡単で分かりやすい自分でできる”セルフコンディショニング”を一人ひとりに合わせ提案。 そのうえで、専門家としてサポートしていく姿勢をとり、 選手自身とそして選手を応援するトレーナーや家族に、 セルフメコンディショニングにおける考えを伝え、講師としてもサポートするなど幅広く活動している。