テレワークによる健康問題と対策

【はじめに】

近年デスクワークを中心としたパソコンを使用する仕事が多くなりました。

東京オリンピックに向けての取り組みとして、自宅で仕事を行うテレワークが行う企業も増えてきました。

また新型コロナウイルスの影響により感染拡大を避けるための3密対策として、テレワークに着手する企業のはさらに増え、仕事の仕方が変わるのではないかと思ってしまうほどの変換がもたらされてきています。

ここでは、テレワーク(デスクワーク)における弊害と対策について2回にわたって解説をしていきます。

 

 

デスクワークによる弊害

 

整骨院での施術やパーソナルトレーニングの指導をしていると、
症状の強さには違いがありますが腰痛・肩こりによる悩みを訴える方が多く目につきます。

不快な症状を抱えていると
「集中できない」など仕事のにも影響が出ているようです。

以下様々な健康問題が出ています。

 

企業に勤務している会社員1,500名を対象とした仕事のパフォーマンスと健康に関する意識調査

株式会社ティーペック(東京台東区)が、「企業に勤務している会社員1,500名を対象とした仕事のパフォーマンスと健康に関する意識調査」の結果を2016年に公開しています。

体の不調でパフォーマンスが低下していると実感している会社員は、年に1回以上発生が71.1%、週1日以上発生が30.1%、毎日発生が6.9%の割合でいるとこの調査では伝えています。

その不調の内容は以下のとおりでした。

最もよく起こる不調の内容(1つのみ回答)は「頭痛」がもっとも多く、次いで「疲労感・倦怠感」が多く、年代別では50代男性に多かった。平均して1人あたり4.6個の不調を感じていた。」とありました。

1位から10を見てみると、「頭痛」、「肩こり」、「腰痛」は仕事をしている姿勢に問題がある可能性が高いです。

またストレスが原因ともとれるものとして「肩こり」、「不眠」、「ストレス」でしょうか。

その他、体力の問題とも考えるのが「疲労感」や「風邪」(体力つくりによる免疫向上することにより回避できることもあります)、「腹痛」や「便秘」、「下痢」は食べるものと関係もあるかと考えます。

まとめると、
健康への意識改善により(姿勢、ストレス、体力、食事の改善)、仕事のパフォーマンスが向上するということが考えられます。

 

日本における慢性疼痛保有率

 

日本における慢性疼痛保有率では日本に慢性疼痛を抱える人がどのくらい存在するのか、また、慢性疼痛が生活にどのように影響しているのか、その治療の現状はどうなっているのかについて大規模調査研究を実施しています。

その結果、慢性疼痛保有者の平均年齢は 46.3 歳であった。性別分布は男性で 12.9%、女性で 13.9%でした。

 

 

慢性疼痛の部位と原因

 

疼痛部位は、以下の図に示すように「背中下部」が58.6% と最も多く、「肩」38.7%、「頭部」29.7% の順でした。

項目を見てみると、「腰」というものがないので「背中下部」とは「腰」のことを指していると考えます。

 

座位行動の科学―行動疫学の枠組みの応用―

 

こちらでは、座位による健康リスクについて伝えています。
太文字のところを中心に目を通していただければです。まとめもあります。

van der Ploegらは、一日の総座位時間が 4 時間未満の成人に比べて、4~8 時間、 8~11時間、11時間以上と長くなるにつれて、World HealthOrganizationによる推奨身体活動量を充足していたとしても総死亡リスクが11%ずつ高まることを示している。

Dunstan らは、余暇のテレビ視聴に伴う座位時間が1 日2時間未満の成人と比較し、2~4時間、4時間以上と長くなるにつれて総死亡リスクが11%ずつ、冠動脈疾患死亡リスクが18%ずつ高くなる

Veerman らはテレビ視聴のために1時間座位行動を続けるごとに、平均余命が推定で22分間短くなることも指摘している。

Matthews らの研究では、余暇に週当たり7時間以上の中高強度の身体活動を実施していたとしても、テレビ視聴時間が1日7時間以上の成人(いわゆる、アクティブカウチポテト)は、1時間未満の成人と比べて総死亡リスクが47%、冠動脈疾患死亡リスクは2倍も高かった

Patel らは、余暇におけるテレビ視聴や読書を含む座位時間が1日6時間以上の成人の場合、3時間未満の成人と比べて総死亡リスクが男性で17%、女性では34%も高いことを見出している

Warren らは、自動車移動に伴う座位時間が週平均10時間以上の成人男性は週4時間未満の男性と比べて、冠動脈疾患死亡リスクが82%も高いことを報告している。

座位行動の科学―行動疫学の枠組みの応用―から引用

 

結果を総合すると、身体活動の実施とは独立して、長時間にわたる座位行動が総死亡および冠動脈疾患死亡のリスクを高める可能性がある。とまとめています。冠動脈疾患とは狭心症や心筋梗塞のことです。

また、BMI や性別によってさまざまな研究が存在するものの、デスクワークなどある意味安定した座位の習慣は肥満、体重増加、糖尿病、一部のがん冠動脈疾患発症リスクと関連がある傾向が示されているということです。

なによりMatthews らは「余暇に週当たり7時間以上の中高強度の身体活動を実施していたとしても・・・テレビ視聴時間感が長いと死亡リスクが高くなる」と言っています。詳細を読むと少し極端な検証なのですが、1日に1時間の運動をしていても長く座ってばかりいると、それだけでも体への悪影響があることは頭に入れておいてもいいでしょう。

 

 

日本人は座位時間が長い

 

また日本人は座位行動の時間が長いことも検証されています。

Bauman らは、世界20ヵ国における平日の総座位時間の分布を報告している、20ヵ国全体の一日総座位時間の中央値は300分であり、日本はサウジアラビアと並んで420分と20ヵ国中最長であった

平均が300分に対して420分とはまた多い差ですね。サウジアラビアについては分かりかねますが、日本人は仕事のし過ぎと捉えることもできますかね。ここについてはあくまでも個人的な印象です。

 

 

【対策】業務中に立つことが大切

 

また業務中に立つことの大切さが以下で示されています。

仕事中の座位行動を改善する試みとして,Evansらはパソコンから30分ごとに座位行動の中断を促す選択刺激(Point-of-Choice Prompt)の配信と脱座位行動の重要性に関する教育とを組み合わせた介入効果を RCT により検討し、選択刺激がある方が勤務日における30分以上の長時間座位行動の頻度や時間(1日に占める割合)の改善に有効であることを明らかにしている ―中略―
4週間の介入研究(Take-a-Stand project)では、仕事中の座位時間が66分間/日減少するとともに、腰部痛・頸部痛および気分状態などの主観的健康状態にも改善が認められている

 

これによると腰痛、首痛の不快感の減少がみられることや、気分転換にもなるようで、座る立つを繰り返すことにより仕事の効率も上がることも考えられる文献です。

 

座位行動研究が特に進んでいるオーストラリアでは、政府から「Taking Preventative Action」という National Preventative Health Taskforce による報告「Australia: the healthiest country by ₂₀₂₀」に対応する形の文書が公開されており、増え続ける過体重・肥満、2型糖尿病、冠動脈疾患を予防するために、職場での座り過ぎを改善するよう勧告しているとのことです。

 

 

サポートによる成果向上も

 

Gardiner らの高齢者を対象にした介入研究では、

対面でのコンサルティング(目標設定の活用)および個人仕様の手紙による各1回ずつの支援を組み合わせたプログラム(Stand Up For Your Health)により、総座位時間が有意に減少する(3.2%/日)とともに座位行動中断回数の有意な増加(4回/日)が認められた。

とあります。
人と会うこと、コミュニケーションをとることが大切だということがここから考えられます。
何事に関しても一人での管理はよほどの強い意志がなければやり遂げられないことが示されているのではないでしょうか。

 

 

まとめ

 

近年、病欠とは異なる労働損失として、出社していても何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状況(プレゼンティーイズム)への対策も注目を集めています。疾患・症状が仕事の生産性等に与える影響は小さくありません。

様々検証から長時間の座位姿勢の健康リスクの増大、またそれに伴う不良姿勢による「頭痛」「腰痛」「肩こり」などの仕事効率の低下を及ぼす問題が出てきました。

対策としては、座りっぱなしにならないで適度に立つことは、不定愁訴の低下にもつながるとのことでした。また座位での姿勢も負担のかからない姿勢を取ることによって不定愁訴を回避できると考えられます。

とはいえどのようにすればいいの?だと思います。

次回は具体的な対策について解説していきます。

「体に負担のかからない座り方とは」

「デスクワーク環境と整える」

など文献から検証された情報を中心にわかりやすくまとめてお伝えしていきます。

 

参考
企業に勤務している会社員1,500名を対象とした仕事のパフォーマンスと健康に関する意識調査 株式会社ティーペック(東京台東区2016)
日本における慢性疼痛保有率 服部 政治 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)127,176~180(2006)
座位行動の科学―行動疫学の枠組みの応用―岡浩一朗 杉山岳巳 井上茂 柴田愛 石井香織 Neville OWEN

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ABOUTこの記事をかいた人

かつてプロボクサーとして、6年間活躍し最高位は日本ライト級6位。 その競技生活において怪我や体の故障を経験し、 どうすれば怪我や故障をしないですむのか、 どうすれば効率的・効果的に体を動かすことができるのか、力を発揮することができるのか考える。 そんな想いから競技生活を終えた後、フィットネスインストラクターに転身後、柔道整復師となり、 接骨院勤務、整形外科勤務を経て、   2007年 『千住大誠接骨院 』 設立   2008年 『R&F Karada+ 』 (カラダプラス/コンディショニング施設)設立 「痛みへの施術」 「トレーニング指導」 「コンディショニング指導」 それぞれの特長を生かした総合的な視点から、必要最適なアプローチを行える体制を確立。 治してもらう・教えてもらうだけのではなく、 まず自分でもやってみようという 簡単で分かりやすい自分でできる”セルフコンディショニング”を一人ひとりに合わせ提案。 そのうえで、専門家としてサポートしていく姿勢をとり、 選手自身とそして選手を応援するトレーナーや家族に、 セルフメコンディショニングにおける考えを伝え、講師としてもサポートするなど幅広く活動している。