座位姿勢は現代病ともいえる存在で、イスに座った姿勢は非常に負担がかかります。
今回はデスクワークによる腰痛の対処法(エクササイズ編)についてお伝えします。
目次
デスクワークにおこる腰痛のパターン
骨盤周囲が絡む腰痛のパターン3つに分類しました。
①立ち上がる時に痛い/腰が伸びずらい腰痛
②座っているだけで腰がつらくなる腰痛
③骨盤を立てているのがつらくなる腰痛
①立ち上がる時に痛い/腰が伸びずらい腰痛
股関節の前側の筋肉である”大腰筋”に問題があります。

座りっぱなしでいると、大腿骨から腰椎についている大腰筋は、股関節が90度くらいに曲がっている関係で、短くなった状態となります。この状態を維持するとその短くなった状態で筋肉は固まってしまいます。
すると立ち上がる時に曲がった股関節を伸ばそうとすると短くなった大腰筋は大腿骨に引っ張られて腰椎は前に引かれてしまいます。腰椎の関節の位置関係の崩れや腰を立てるために過度に腰の筋肉を使うことにより腰痛を引き起こしてしまいます。
②座っているだけで腰がつらくなる腰痛
特に後側の中殿筋の硬さが問題です。
ここが硬くなると骨盤内の関節である仙腸関節の上部が外側に引っ張られてしまい
緩くなってしまいます(骨盤の安定性の低下)。
すると左右の寛骨の間にある仙骨都の関節が緩くなり、仙骨の上に背骨があるのでそれを支えるために
過度に周りの筋肉は緊張しなければならなくなります。
そのため座っているだけで「腰の違和感が抜けない」とか
「立っているだけなのに腰が張る」といったことが起こるのです。
前かがみになると腰への痛みが強くなるというのも
このケースが考えられます。
③骨盤を立てているのがつらくなる腰痛
股関節の後ろ側の筋肉である”ハムストリングス(もも裏)”に問題があります。

股関節の伸展筋であるハムストリングス(もも裏)が硬くなると、立っている時には骨盤を後ろに傾けるように引っ張り腰を丸くしているのが楽になります。言い方を変えれば腰を立てるのが大変になるということです。
座って股関節が曲がると骨盤を後ろの傾ける方向に引っ張る力が強くなり、骨盤を立てる筋力(大腰筋)が弱いと容易に骨盤が寝てしまいます。ご年配の方の丸まった腰がいい例です。
座る姿勢はどうしてもお尻やもも裏の筋肉が前側に対して勝ってしまうため、腰を立たせようとすると腰部の筋肉ががんばらなくてはならないため、腰の筋肉が悲鳴を上げてしまうのです。
またもも裏の筋肉と背骨の両側にある腰の筋肉は関係しあっているため、もも裏の筋肉が固くなるとより腰の背骨を支える筋肉は緊張をしてしまうということになるのです。
このタイプの腰痛にはもう1点頭に入れておく必要があります。
腰が丸くなるこの姿勢は、背骨と背骨の間にある椎間板にかかる圧力がて立っているときの1.85倍かかります。これが腰を丸くする猫背姿勢の怖いところです。詳しくは以下の前回の解説をご覧ください・
デスクワーク腰痛のエクササイズでの対処法(ケア方法)
①立ち上がる時に痛い/腰が伸びずらい腰痛の対処法
座りっぱなしで大腰筋が固まってしまった腰痛には、動かしながら伸ばしていくことが大切です。ただ伸ばすだけだと固まったままなので伸びづらく逆に腰を痛めてしまうこともあります。
現在立ち上がる時に腰が伸ばしづらいと感じている方は、動かながら伸ばして、そして立ち上がるようにしましょう。
【方法】
椅子に座ったまま行うことが可能です。片方の脚のももの上に反対側の脚の外くるぶしがくるように乗せます。
すると片方だけあぐらをかいた状態になります。あぐらをかいた脚をそのまま形で両手で脚を持ち上げます。
外くるぶしがももの上から離れた状態を維持して3秒間キープします。それを3~5回繰り返します。左右行いましょう。それだけでも立ち上がる動作や腰を反ることが楽になるかと思います。
このエクササイズを行った後、今度はうちももから股関節の前のストレッチを行います。
座りっぱなしで行うことが可能です。椅子に浅く腰掛けストレッチをする脚を外側にシンキャクをするように位置しましょう。その際足の指先は体の正面を向けてください。ストレッチする脚を残しながら骨盤を立て、体全体を反対側に向きにしストレッチしていきます。30秒行いましょう。それを左右行ってください。
紹介しているエクササイズとは違いますが、以下の動画も効果的です。
また主の原因筋である「大腰筋」はふくらはぎの筋肉とつながっているため、ふくらはぎのマッサージをすることも有効です。
②座っているだけで腰がつらくなる腰痛の対処法
【中殿筋(お尻)のストレッチ】
下の写真は中殿筋のオーソドックスなストレッチです。・
上の写真は中殿筋を伸ばしながらつながりあっている筋肉である脇腹(腹斜筋/肋間筋)、首筋(胸鎖乳突筋)を伸ばしています。
お尻は下の写真同様に伸ばしつつ、手をしっかりとの上に向けて伸ばし、その手を見上げるように目で追います

【座り方】
両脚を広げて座りましょう。脚を広げて座ることで骨盤を不安定にしてしまう原因となる筋肉が緩みます。
【骨盤サポートチェアを使用】
リアラインチェア:このチェアを使用することで仙骨を支える左右の骨盤が近づくため骨盤の安定化が図れます。

リアラインチェア
③骨盤を立てているのがつらくなる腰痛の対処法
もも裏の筋肉のストレッチで緩めることと、①の主の原因筋の「大腰筋」をしっかりと使えるようにすることが大切です。
立って前かがみをしましょう。もも裏が固いと前かがみの制限があります。指を床に近づけた状態で指先の位置を変えずに膝の曲げ伸ばしを繰り返します。5回くらいで結構です。それを3セットほど繰り返しましょう。がんばって行う必要はありません。
またもも裏のハムストリングスは骨盤を後ろ倒す作用(骨盤後傾)があり、緩めることをお伝えしましたが、合わせて骨盤を立てる筋肉も活性化させていくことが大切です。ハムストリングスに打ち勝つ筋肉は「大腰筋」です。
仰向けになり腰に手のひら一枚が入る隙間を作り、膝を90度維持し両脚を持ち上げます。腰の手のひら一枚分を維持しながらできる範囲で脚の降ろし上げを繰り返します。両脚で行うことが厳しければ片脚を交互に降ろし上げを行いましょう。
椎間板性の腰痛に対しては、
骨盤に手を当て前方向に押して腰を反りましょう。
その際、肩甲骨を寄せ、顎を引き、胸を見ながら反っていくことができると、スムーズに行うことが可能です。
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