テレワーク症候群の対策① 「座り方、環境の整備」

テレワーク症候群の対策として、前回の「テレワーク症候群とは?」を簡単に振り返ってみたいと思います。詳しく見たい方は こちら をどうぞ。

 

前回の振り返り

 

テレワーク症候群とは

 

テレワーク症候群とは、座りっぱなしの姿勢でのデスクワークが招く「デスクワーク症候群」の症状にプラスして、外出することがなくなることによるエコノミークラス症候群や目の不調、活動量の低下による生活習慣病などの多岐にわたる症状の恐れのあるものです。

 

◆座りっぱなしの猫背姿勢によって起こる、腰痛、肩こり、頭痛

◆パソコンの画面を見てばかりで、また家の中で閉じこもり遠くを見ることがなくなることによる視力低下ドライアイ、眼精疲労

◆自宅で行うということで、仕事とプライベートの境界線があいまいとなり、仕事時間が長くなってしまうことで起こる腱鞘炎をはじめとするマウス症候群。

◆座りっぱなしな上に自宅という活動範囲が狭いところでの生活によるエコノミー症候群や脚のむくみ。また生活習慣病は肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、脂質異常症、高血圧、骨粗鬆症、サルコペニア、冠動脈疾患など様々な症状があり、長期に及ぶ在宅勤務により、活動量の低下に対して対策が必要となる

◆また上司とのコミュニケーションがうまく取れないことや、自宅で過ごすことによる家庭間でのメンタル面の問題もあります。

 

 

テレワーク症候群対策

 

【テレワーク症候群対策一覧】

①首・腰に負担のかからない座り方をする

②デスクワーク環境の整備

③外に出ること

④運動をすること(活動量を増やす)
その① 
その②

⑤コミュニティに参加すること(2021年1月現在は新型コロナ感染リスクを考慮した活動)

⑥姿勢を整えること、維持できる筋力を身に着けること
その①
その②
その③
その④

今回は①と②について解説していきます。

 

具体策

①首・腰に負担のかからない座り方をする

デスクワーク時の姿勢、自分自身では気が付かないものです。以下のような姿勢になっていないかを確認してみましょう。

 

ノートパソコンを使う時には、
下にモニターが あるため必ずと言っていいほど頭の位置は前方に移動してしまいます。
それに伴い猫背姿勢となってしまいます。

 

頭が前方に出る

肩・首への負担増正常時の頭の重さ +13.5kgにもなります

 

頭の位置によって首肩への負担が変わります。

正常な状態では頭の重さは、4.5㎏だとすると、5㎝前方に位置していると、13.5㎏もの負担となり、7.5㎝前方に位置した姿勢でいると、なんと18㎏もの重さが首・肩にのしかかるのです。

その差は、13.5㎏。

13.5㎏を持って歩くことを考えると、首肩への負担ははかりしれない。首痛、肩こり、頭痛、また離れていますが腰も支えるために過度な負担となり腰痛にもつながることにもなります。

 

また、猫背姿勢はこのような問題にもなります。

猫背

呼吸が浅くなる

ストレス増&リラックス状態に入れない

猫背姿勢となることで、息を吸うときに活動する「横隔膜」がつぶれてしまうのです。(赤いラインが横隔膜)この横隔膜は首の神経と同じ神経支配となっています。

呼吸が浅くなることと首・肩が緊張することはリンクしあっているのです。また呼吸が浅くなると体は「闘争、逃走」状態にあると勘違いし、ストレスホルモンを誘発しリラックスした状態に入る能力を阻害してしまいます。

 

では、適切な座り方とはどんな状態なのでしょうか?

 

首や腰に負担の少ない姿勢

①目線は正面からやや下を向く
②軽く顎を引き背筋を伸ばす
③背筋を伸ばし適度な腰椎の前弯を保つ
④膝が股関節と平行
⑤足の裏を床に接地させる
⑥肘は90度くらいにする(前腕を肘置きに置く)

上記が首や腰への負担の少ない姿勢のポイントです。ただしやろうと思ってもモニターの位置が低かったりしてはこの姿勢を取ることが難しいことが多いかと思います。

 

②デスクワーク環境の整備

腰や肩に負担のかからないデスクワーク環境の整備は必要不可欠です。不快なことがなく気持ちよく過ごしていくために環境の整備への投資を惜しんではいけません。

また環境を整えることに合わせて、快適な座り方も身に付けましょう。

座り方についての解説なのですが、立っている姿勢で紹介します。

なぜ立っている姿勢なのかというと、実は「座らない方がいい」のです。
といっても立ちっぱなしでいてくれと言っているわけではありません。

私たちの体は、立って歩いたり走ったりするようにデザインされていると言われています。

 

デスクワーク環境を整えるには、

ノートパソコンのモニターの位置を目線の高さ、または外部モニターを使用する。

外部モニターはなかなか用意できないという方は、
ノートパソコンスタンドなどでノートパソコンのモニターの位置を目線の高さにし、Bluetoothのキーボードを用意するといいのではないでしょうか。


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肘が90度になるような位置にデスクの高さを設定し、必要であればデスクに付けられる肘当てがあるとより肩の力を抜いて向かうことができるでしょう。


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座り方対策

①椅子の端に座る
②できるだけ多く姿勢を変える
③ 20~30分毎に立ち上がって動く

 

① 椅子の端に座る

体の体重を支えるところは足の裏である。

支えるために足の裏の皮膚は固くなっていて、体重を長時間支える準備ができている。

さて、椅子に座るときはどうだろうか?

やわらかい椅子の奥まで座るとお尻とももうらほぼ全体重がかかってしまうことに気が付くでしょう。お尻とももうらの皮膚は、足の裏同様長時間体重を支える厚さを擁していないことが分かります。

最善の座り方として、背もたれと肘かけいすは使わず、椅子の端に座ることをお勧めします

 

カルフォルニア大学バークレー校建築学教授ガレン・グランツによれば体重の60%骨盤の下にある坐骨で支え、残りの40%は踵にのせる必要があると言っています。

坐骨を踵で体重を支え、大腿骨には体重をかけないことがポイントです。大腿骨に体重をかけることを続けることによって、股関節の関節の制限や痛みを引き出してしまう原因となるからです。

 

② できるだけ多く姿勢を変える

長時間座らなければならない場合姿勢をたびたび変えることは必要不可欠です。

座っている場合、同じ姿勢をとり続けないように意識をします。座っていてそわそわもぞもぞしたくなる時が、体が動きたいというサインです。そのサインを受け取ったら、立ち上がって姿勢をリセットします。また座る姿勢を変えるようにします。

例えば、膝を立てたり、正座したり。もちろん片足のみでもいいでしょう。とにかく座る姿勢を変えることが大切です。
こんな座り方、おすすめです。

 

◆蓮華座


床で座ることは椅子に座るよりも体にはプラスに働くことが多く
選択するにはお勧めです。特にこの蓮華座はおすすめの座り方です。

ただし慣れが必要です。また股関節の硬い方はこの座り方ができない方もいらっしゃるかと思います。

この座り方は両足を逆の大腿部の上に乗せるように胡坐をかいた座位です。古代インドのヨガ行者は、このアーサナ(姿勢)を用いて毎日毎年瞑想していました。

 

◆大きく脚を開いて座る


女性にはお勧めしづらいのですが、大股開きで座ることが非常に腰への負担を和らげてくれます。

椅子の端に座り膝を大きく開いて座ることで骨盤が立ち座骨で座ることが容易になります。

また同様に膝を開き足の裏と裏が向き合うように座るのもいいでしょう。

 

③ 20~30分毎に立ち上がって動く

20分~30分毎に立ち上がって、少なくとも2分間の運動を行う。

座りながら姿勢を変えることは停滞したところに血液を流れ込ませるのにいい方法だが、実際の運動の代用とはならない。立ち上がることで脚の筋肉を使い3分ほどの散歩のような運動を加えればより多くの利点を得ることができます。

ニューヨークタイムズの体育に関するコラムニストであるグレチェン・レイノルズ氏によれば、体重が減り心疾患の可能性を減らし、脳機能が改善すると言っています。歩き回ることができなければ、その場で立ちます。

 

参考

ケリー・スターレット式 「座りすぎ」ケア完全マニュアル 姿勢・バイオメカニクス・メンテナンスで健康を守るケリー・スターレット (著), ジュリエット・スターレット (著)出版社 : 医道の日本社 (2019/10/8)

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ABOUTこの記事をかいた人

かつてプロボクサーとして、6年間活躍し最高位は日本ライト級6位。 その競技生活において怪我や体の故障を経験し、 どうすれば怪我や故障をしないですむのか、 どうすれば効率的・効果的に体を動かすことができるのか、力を発揮することができるのか考える。 そんな想いから競技生活を終えた後、フィットネスインストラクターに転身後、柔道整復師となり、 接骨院勤務、整形外科勤務を経て、   2007年 『千住大誠接骨院 』 設立   2008年 『R&F Karada+ 』 (カラダプラス/コンディショニング施設)設立 「痛みへの施術」 「トレーニング指導」 「コンディショニング指導」 それぞれの特長を生かした総合的な視点から、必要最適なアプローチを行える体制を確立。 治してもらう・教えてもらうだけのではなく、 まず自分でもやってみようという 簡単で分かりやすい自分でできる”セルフコンディショニング”を一人ひとりに合わせ提案。 そのうえで、専門家としてサポートしていく姿勢をとり、 選手自身とそして選手を応援するトレーナーや家族に、 セルフメコンディショニングにおける考えを伝え、講師としてもサポートするなど幅広く活動している。