【上半身の柔軟性の高め方】ワークショップIN戸隠小舎

戸隠のプロスキーヤーの佐々木常念さんの「戸隠小舎」にて

体幹トレーニングの専門が伝える【上半身の柔軟性の高め方】ワークショップを開催しました。

今回の参加者は、佐々木常念さんが企画されたスキーの技術向上のための「クリスマスキャンプ」に参加された、スキーをもっと上達したいという向上心のある方。

そのような意識の高い方に向けてのワークショップは、質問も飛び交い、また自身の経験と結び付けてみること、また体の変化を感じ取る力も高くて、私自身も楽しく余計なことを話してしまいながら進めさせていただきました。

お伝えしたワークショップを振り返りつつ、行いましたエクササイズの解説をしていきます。

 

上半身の柔軟性が必要なのか?

今回の対象者がスキーヤーということで「下半身は安定性、上半身はバランサー」の役割があることをお伝えしました。

どういうことかというと、例えば平均台を渡るとき、無意識で行ってみると手を広げてバランスをとると思います。

仮に両手で胸を抱えるようにして行ってみるとわかりやすいです。とたんにバランスがとりづらくなります。

このように上半身はバランスをとるために固めるのではなく、柔軟性を持ちつつ安定させることが大切なのです。

ポイントは、下部腹筋と上部腹筋の使い分けです。下部腹筋は安定させるために締め、上部腹筋はダイナミックに動かすために緩める締めるのONOFFを使い分けていく必要があるのです。このように書くと難しく感じるかもしれませんが(でも少しはじめは難しいです)、この使い分けのエクササイズについては後ほど解説していきますね。

 

エクササイズ

タオルを使った上半身のエクササイズ

ソラシックリフト&アームサークル

目的:上半身(肩と胸郭)の可動性の向上。上部胸郭の引き上げ感覚の入力。

バスタオルの両端をもって前から頭上、背部へとぐるっと肘を曲げずに回していきます。5回回したら、さらにタオルの内側を持ちぐるっと回します。肘を曲げずに回せるぎりぎりまで繰り返してください。

【ポイント】

上部胸郭の挙上です。

胸の上の方が引きあげることで上位胸椎が伸展が促され、腕を回しやすくなります。顎を胸に付け、付けたまま前を見るようにします。すると胸も一緒に引き上がります。

その際、腰は反るたくないので、お腹を凹まして行いましょう。それにより腰を反るのではなく背骨の上部が反る動きが引き出されます。胸の上部が引きあがることにより腕は回しやすくなります。

ここのポイントは立つ歩くなどの脊椎動物”ヒト”の身体操作上における基本となるところです。この後にも出てくるところとなるのでこの「上部胸郭の挙上」は思い出せるようにしておきましょう。

 

ローリングクレッセント

目的:メインは体幹の横側のストレッチ。筋膜のつながりである外側系(大腿筋膜張筋-腹斜筋-肋間筋-胸鎖乳突筋)のストレッチ

縮めてから伸ばすことでより柔軟性を引き出すことができるという体の特性を活かし、体の横側の筋膜のつながりを伸ばしていく全身ストレッチです。これは胸の横側を主として伸ばしますが、筋膜の繋がりを伸ばしていくので脚が軽くなったり(もも上げ)、首の回旋の動きがよくなったりしますので行う前の状態確認として行ってみてください。

<右側を伸ばす場合>
立ってタオルの両端を持って両腕を万歳します。右側に倒します。右のわき腹の筋肉が収縮するのを感じましょう。3~5秒キープします。次にタオルをぴんと張ったまま、ぐるっと下を回って反対側に持ってきます(右側の体幹の横が伸びている状態です)。右足に体重をかけて、右腕を天井に近づけるように伸ばし、その右手を見るように顔を天井に向けながらしっかりと伸ばします。この動きを5回程度繰り返します。

終了後ももを上げてみましょう。はじめより持ち上げやすくなるのを感じれるでしょう。

これはわかりづらいという方は、途中の動きは行わずに最後の形でストレッチをしてください。30秒ほどを2~3セット行えるといいでしょう。

ツイスト&クレッセント

目的:体幹回旋可動域の向上

座って行います。タオルの端を持ち万歳をします。骨盤は動かさずに上半身で体をねじっていきます。最大可動域まで行ったら、その位置で振り向いている側の体幹の横を伸ばすように体を倒します。再びその位置からねじるとさらに体がねじれるのを実感できるでしょう。再びその位置で体幹の横を伸ばし、ねじります。ねじれる可動域限界まで行ってみてください。

 

ストレッチポールを使った上半身のコンディショニング

逆腹式呼吸

目的:肋骨の拡張、みぞおち周囲の腹筋のストレッチ

ストレッチポールを横向きにしてみぞおちの後ろあたりがポールにつくように仰向けに寝ます。
頭の後ろで手を組み、顎を胸に付け胸を張ります。
この姿勢ができたら、お腹を凹ましながら息を吸いましょう。吐くときは脱力するように楽に吐きます。それを繰り返します。
これによりみぞおち周囲の腹筋のストレッチして、呼吸をしやすくしつつ胸を引き上げやすくしていきます。

ツイスター

目的:下部の肋骨を横に広げるストレッチ

ストレッチポールを横向きにしてみぞおちの後ろあたりがポールに当たるように仰向けになります。
写真の場合で説明すると、頭の後ろで左手で右手を左側に引っ張り、両膝を右側に倒して体幹を捻ります。
呼吸をしながら息を吐くときに脚の重みで骨盤から下が右側に倒れていくのを感じながら呼吸を繰り返します。

チンインエクササイズ

目的:上部の胸を引き上げる

逆腹式呼吸と同じ姿勢をとり、顎を胸に付けた状態で頭を後方に押し付けるようにします。みぞおちの下がポールを当たる位置で5~10回ほど頭を後方に押し付ける動きを行います。背骨がポールに当たる位置を少しずつ頭方に移動して再び頭部を後方に押し付けます。これを繰り返し上部の背骨が反りやすくしていきます。

スパイナルエクステンション

目的:背骨全体の反る動きを引き出します。

うつ伏せに寝て、写真上のようにポールに両腕を載せます。ポールを手前に引きながら顎を胸に付けた状態で胸を目に向ける意識を持ちながら体をそっていきます。

ポイントは①顎を胸に付けて行うこと。②肩を引き下げながらポールを手前に引くこと。③肘を伸ばして行うこと

腰の筋肉に負荷がかかっていると感じる場合は、うまくできていません。みぞおちの後ろから上の背筋を使っている感覚が大切です。腰に来る方は無理せず中止するか、ここまで紹介した逆腹式呼吸、ツイスター、チンインを再び行って胸の背骨を反りやすくしてから再び行ってみるといいでしょう。

体幹安定エクササイズ

強制呼気

目的:体幹を安定させる深層にあるインナーユニット(多裂筋/骨盤底筋群/腹横筋)を活性化させる。また上部と下部の腹筋を分離させて使う。

腰に手の平一枚分のスペースをあけ、みぞおちの後ろが床につくようにします。その姿勢をキープしたまま、軽く息を吸って細く長く息を吐いていきます。すると下腹部にぐっと力が入るでしょう。その力の入った状態が体幹を安定させてくれるインナーユニットが働いている証です。

息を吐き切って下腹部に力が入ったら、下腹部の力の入った緊張を維持したまま、まずは浅く呼吸をしていきます。30秒続けてみましょう。

これが楽にできるようになったら、下腹部の緊張を維持したまま息を大きく吸っていきましょう。大きく息を吸うと下腹部の緊張を維持するのが難しくなりますので下腹部の緊張が抜けないようコントロールしながら行ってみてください。

フロントクロスラインプランク

目的:体幹の前面を安定させてくれる前斜系(内転筋と腹斜筋のつながり)を性化させます。

うつ伏せになります。
膝90度に曲げ足の裏と裏が向かい合ってくっつくようにして両膝を開きます。
肘は肩の真下からやや上方外方になる位置とします。

この姿勢のまま強制呼気を行います。息を吸って細く長く息を吐き、下腹部を緊張あっせそれを維持しつつ呼吸を行います。

次に肘と膝で支えながら体幹を持ち上げます。肩を引き下げて首を長くするように意識し、お腹が落ちないようにしていきます。

肩を引き下げるとお腹が落ちやすくなりますので落ちないように頑張ります。どうしても落ちてしまう場合は、まずは肘の位置を肩の真下から始めるようにしてください。できるようになりましたら徐々に肘の位置を上方かつ外方にしていきましょう。

 

まとめ

 

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ABOUTこの記事をかいた人

かつてプロボクサーとして、6年間活躍し最高位は日本ライト級6位。 その競技生活において怪我や体の故障を経験し、 どうすれば怪我や故障をしないですむのか、 どうすれば効率的・効果的に体を動かすことができるのか、力を発揮することができるのか考える。 そんな想いから競技生活を終えた後、フィットネスインストラクターに転身後、柔道整復師となり、 接骨院勤務、整形外科勤務を経て、   2007年 『千住大誠接骨院 』 設立   2008年 『R&F Karada+ 』 (カラダプラス/コンディショニング施設)設立 「痛みへの施術」 「トレーニング指導」 「コンディショニング指導」 それぞれの特長を生かした総合的な視点から、必要最適なアプローチを行える体制を確立。 治してもらう・教えてもらうだけのではなく、 まず自分でもやってみようという 簡単で分かりやすい自分でできる”セルフコンディショニング”を一人ひとりに合わせ提案。 そのうえで、専門家としてサポートしていく姿勢をとり、 選手自身とそして選手を応援するトレーナーや家族に、 セルフメコンディショニングにおける考えを伝え、講師としてもサポートするなど幅広く活動している。